高天原蒜山という男


先日「帝一の國 -大海帝祭-」を観劇してきた

8月12.13と計4回観劇してきた


11も行けばよかったと余裕で悔いることが出来るほどに楽しかった





帝一の國というのは以前スクエアに連載されていた漫画で既に完結済みの作品である


簡単なあらすじとしては


時は昭和、主人公である赤場帝一は内閣総理大臣になるという夢を持つ高校1年生

まずは政界に偉大な政治家をたくさん送り出した海帝高校にて、将来のアドバンテージとなる生徒会長を目指し奮闘していく


と ザックリもいいところではあるがこういったような物語である





野心家だが若干情緒不安定なハートを持つ帝一や


策士なはずなのに小物臭がすごい小悪党ライバルの菊馬や



後半に出てくる正義感溢れる不良1年生の久我や



時代を感じるアイドル的存在で心はキュートな女の子の玲ちゃんなど



個性が強く好きなキャラは割といるのだけれど






私はセトリもといセティもとい瀬戸祐介さん演じる高天原蒜山がのたうち回る程に好きだ

好きになってしまった



高天原蒜山

たかまがはら ひるぜん



ようはラスボスキャラである





元々悪役サイドに感情移入しやすいタイプなので原作を見た時からそこそこ好きなキャラだった

あくまでそこそこ




だったのだが舞台を観て更に好きになってしまった

崖から足を踏み外して一気に急降下して強く頭を打ち付けたような気分だった

そしてその痛みがこれまたなかなかひかないのだ

あぁ痛ぇ





舞台ではセトリもといセティもとい瀬戸祐介さんが演じている




私はテニミュで鳳をやっていた頃の瀬戸さんしか知らなかったので正直初めて舞台の二章を観劇した時、本田先輩の時も蒜山の時も 誰だこの人状態であった  

私の記憶力的な問題もあるけれど  勿論良い意味で誰なんだろう と



ファンからセトリと呼ばれてる瀬戸さんは知っていたがいつしかセティと呼ばれてる瀬戸さんは初めて知った



もう31歳になったことも初めて知った

思ったよりは歳を取っていなかったなと感じた


個人的体感だとテニミュ1stの頃の俳優は まあ世代にもよるのだけど みんな30代後半〜40手前くらいの年齢になっているようなイメージがある

テニミュ1stが何年前か覚えていないのだ

つまりはただのド偏見である









高天原蒜山 

天照霊波救世教という宗教の教祖の息子として生を受けた

教祖の息子としての重圧、連日女や酒に明け暮れる父親、そんな父親が敷いたレールを歩むことを強制される息苦しさに不満を抱え続ける幼少期を過ごしていたため、やや凶暴で荒々しい子供であった

そんな中 似た境遇で育つ総理大臣の息子、野々宮裕次郎(愛称:ユウ)と組み 汚い大人への報復をはかり 子供だけでマヨネーズ皇国を作り 町中をマヨネーズだらけにし 大人に怒られ もうオイタをしないよう実の親に機械で洗脳され

その後はしばらく穏やかに過ごす…

が いつしか洗脳は解け幼少期の荒々しい性格が目を覚ましてきた彼は、自分の家の宗教を国教とさせ 日本を世界一強い軍事国家へと創り上げようと企む



 といったようなキャラだ


戦争は正義!という価値観の持ち主なのだ

ラスボスによくある傾向ではある






だがこれは蒜山を演じた瀬戸さんも言っていたことだが


蒜山は自分を「悪」だとは思っていない

手段はどうであれ、蒜山は自分が1番正しいと感じる道を選び、それこそが正義なのだと信じた上で自分を貫き通そうとした

それが日本のためなのだと信じた

相棒のユウと供に






だがそんな中でユウは、目的達成まであとわずかというところで社会的地位を犠牲に、父親とのわだかまりが溶けてしまう

無意識に1番欲していたものを手にしてしまうのだ



蒜山を残して




そしてユウはこれまでの行いを「反抗期だった」と言い、蒜山の元を離れた上でやり直すことを決意する




顔を歪めていた蒜山の気持ちよ


歪めたくもなるよなそりゃ





目的達成は邪魔され、憎んでいたはずの存在である大人に相棒は絆され、その後仲間には掌を返される




諸々犠牲の多い手段をとっていた報いではあるが、高校1年生の蒜山にとっては悪夢の連続だっただろう






そして戦いに敗れた彼は天照霊波救世教の洗脳をマスコミに暴かれ、世間からバッシングを浴びることになる

結果、学校を1人でひっそりと退学

父親とは絶縁し 日本一厳しい修行をしているという寺に入ることになる



えっ

何で?


とまず思うと思う



この蒜山の道について、作中では「彼もまた様々な葛藤を抱えた十代の若者だったのだ」と記してある




幼い頃から新興宗教の後継者として重圧を受け


その重圧故に芽を出していた反発心はいつしか日本を揺るがしかねないものになるまで成長を遂げ


しかし花咲く前に根は切られた




彼はそこで

空っぽになったのだと思う



夢も 理想も 重圧も 反発心も


全て失い

全て解き放たれた





修行に入ったのは



罪悪感による償いなのか

世間からの逃亡なのか


かつての相棒も言っていたように


生まれ変わりたかったのか




いや十代の葛藤に答えを見出そうとするのもナンセンスな話ではあると思うが




日本を宗教で支配しようとした彼の中身は

あくまで高校1年生なのだ




軍服のような制服に身を包み独立国家を作るぞ!と声高々に宣言しようとも

戦争が引き起こされる手段をとっていることを自覚していようとも




相棒に裏切られれば思わず口調も幼少期の頃のようになるし

仲間が離れれば顔を覆って泣いてしまう




そんなアンバランスな心と体を持つ蒜山

妙に惹かれてしまうのだ



長々とややこしいことを書いたが

ここまで惹かれたきっかけとしては舞台での瀬戸蒜山のビジュアルや振る舞いがただただ美しくて格好良かったから

という至極単純なものである





いやほんと瀬戸さんの蒜山は妖し美しいから

なんなら本田先輩との演技の差にもおったまげるから

ビジュアルにも芸にも惚れてしまうから



舞台の蒜山は割とかなり大分ぶっ飛んでいる

舞台の色が色だからというのもあるが、原作に1ミリもそんな要素はないのに急にラップ口調になっちゃうロックな蒜山だったりする


しかし独特の口調はもちろん、どこか優雅な雰囲気を匂わせる仕草や 堂々とした振る舞い、歩き方など

どれを取っても「蒜山らしい」というのだろうか


原作と違うコメディ要素を結構含んでたりもするのに


あぁこれも紛れもなく


高天原 蒜山」だな と


そう思わせてくれる



そんな素敵な蒜山を演じてくれた素敵な瀬戸祐介さんに祈りを捧げたい所存である









まぁとにもかくにも

大人のような子供であり

子供のような大人でもある

高天原蒜山が好きなんだなぁ

という話なのだ




蒜山のキャラに厚みを持たせ、魅力に気付かせてくれた瀬戸さんには本当に五体投地モノである





帝一の國」原作はもちろん、舞台も映画もシュールなのに声を出して笑えてしまうとても魅力的な作品なので1人でも多くの人に知ってもらいたい


というか周りに読んでる人がいなさすぎるので少しでも広めていきたい




とりあえず


大海帝祭最高!!!!!!

瀬戸蒜山様最高!!!!!!!