その眼に映る


最近SNS認知症の祖母を介護していた方のエピソード漫画を読んだ


私の祖父母は未だ健在だし体の節々を悪くしつつも元気に暮らしている


孫の名前を一回で正しく呼ぶことは難しくなってきてはいるけど認知症とまではいかない年相応のモノ、というような感じだと思われる



祖父は寡黙でなかなか弱味をみせない、昔ながらの男性というようなタイプで 愛情はお金やプレゼントなど物で示してくれるような人だ


祖母は声を荒げることはなけれど口数の多い人で、それはもうエンドレスに喋り続ける  喉にマシンガンでも搭載してるのかと思うような人だ





無条件に私を甘やかしてくれる祖父母がとても好きだ


それは歳を重ねた今でも変わらない

私が遊びに行けば決まってお菓子を勧めてくれる あれがあるぞ これもあるぞ って 

私が何歳になったのか知ってるのかって 照れ隠しに考えながら食べるお菓子の味は変わらない


小さい頃はいつ何時でも私が  トイレに行きたい  と言えばついてきてくれて

誕生日にはあれが欲しいといえば値が張るものでもプレゼントしてくれて

風邪をひけば家まで来て看病してくれて

  • 私が少しでも危ないことをしようものなら大袈裟に心配してくれて






最近は祖母の元気が少しずつ無くなってきている


電話の声のトーンも若干低くなったし会えば自分の弱音や愚痴ばかり延々と語る


あの人がこんなことを言ってきて、言いたいことも言えないし、疲れるし、私は大変で、

って

 前も聞いたことがあるような話をちょいちょい相槌を打ちながら私は当たり障りない態度で聞く 







いつからだろう





祖母が自分の話ばかりするようになったのは




私のことについてあまり聞いてこなくなったのは





随分前に久しぶりに祖母と2人で近所を散歩した


なかなかに蒸し暑い昼間に 肩を並べて歩いた


隣にいる祖母を見て


痩せたな

小さくなったな

足取りはまだしっかりしてるな

でもなんだか


頼りな い

ような




大人になっていって身長が伸びて周囲と比べるとやや遅めだったけれど

私は少しずつ成長している 多分



祖母はどんどん痩せていって小さくなって


何だか頼りなくなったと 心の片隅で感じてしまうのが

たまらなく嫌だった


嫌だ



手を繋いで笑いながら歩いて祖母を見上げていた    小学生の頃の私の目に映っていた祖母のままでいてほしい


昔はあんなに大きかったのに

手も身長も


私が前に進むほど祖母が遠く感じてしまう

ただただそれが寂しい






けれど


私はもうトイレは1人で行ける

自分のお金でプレゼントを買ってあげられる

風邪をひいても自分で対処できる

危ないことは  まぁ たまにする



私が祖父母に恩返しをできるだけの下準備はもう揃えられているはずなのだ


分かっている これを始めることに早いも遅いもないと言うこと


むしろ遅ければ遅いほど後に悔いるであろうこと


次は私が手を引いて

私が話を聞いて

私が祖父母を甘やかす番なのだ



具体的にどんなやり方が一番の恩返しになるのかは分からない

これはきっと本人たちも分からない



肩を揉もうか

贈り物をしようか

延々と話し相手になろうか



色々やってみるしかない

今だからできることもたくさんあると私は知っている

こんなもので返せるわけがないなんてことも分かりきってはいるけれど





きっと次に遊びにいった時も祖父母は私に

冷凍庫の中のアイスを勧めてくれるのだろう